メンタルヘルス

うつ病で会社を休むということ【診察・仕事・給与の心配のまとめ】

「自分がうつ病であること」を受け入れることは簡単なことではありません。

「うつ病で会社を休む」ということが耐えられない方も多いと思います。

しかし、うつ病は誰もがなる可能性のある病気です。

うつ病の治療のためには、会社を長期で休むことも必要になる場合もあります。

 

そこで、この記事では、以下のことをまとめてみました。

・「うつ病かもしれない」と思ったらやるべきこと

・うつ病で会社を休む場合に調べておきたいこと

・休んだ時の収入について(休職手当、傷病手当金など)

 

うつかな?と思ったらやるべきこと

うつ病の症状

うつ病の症状には、大きく分けて2つの症状があります。

気持ち(こころ)の症状と、身体の症状です。

 

個人差はありますが、私の場合は、身体の症状が先にでました。

だから、最初はうつ病ということに気がつきませんでした。

腰痛がひどくなり整形外科に通ったり、様々な治療院で多くの治療法を試しました。

また、原因不明のじんましんが出て、2年以上も皮膚科で出された薬を飲んでいました。

 

身体の症状

・眠れない(寝つきが悪い、夜中に目がさめる)

・だるい、疲れやすい

・身体が痛い(頭痛・腰痛・足が痛い・首や背中がこる)

・食事の時に気持ち悪くなる、下痢など胃腸の調子が悪い

 

気持ち(こころ)の症状

・やる気がおきない、すべてめんどうくさい

・不安になる、落ち着かない、イライラする

・消えてしまいたい、自分に価値がないと考えてしまう

 

その他にも、うつ病の症状は多種多様です。

どのような症状が出るかは、人によって異なります。

身体やこころからのサインを見逃さないようにして下さい。

 

診察を受ける

うつ病かなと思ったら、医師に相談しましょう。

精神科と心療内科がありますが、最初はどちらでも構いません。

「精神科」という響きに抵抗があるなら、心療内科へ行きましょう。

まずは、専門医に相談することが大切です。

 

医師に診断を受ける

症状が軽い場合には、経過観察(様子をみましょう)となります。

しかし、症状が重い場合には、仕事を休んで、心と体の休養を取ることが必要になることもあります。

投薬治療とあわせて、休養治療はとても大切な治療の一つです。

 

初めての診察で、いきなり「1ヶ月会社を休んで下さい」と言われることは少ないですが、

数回の診察の後で、「1週間または2週間会社を休んで、安静にしてください」

と先生から言われることはあります。

2週間休んでもよくならない場合は、

さらに「もう2週間ゆっくりしてください」ということもあります。

もちろん会社に提出する診断書は書いてもらえます。

 

ここで心配になるのが、「そんなに簡単に会社を休めない」ということです。

1日や2日なら「風邪です」と会社に伝えれば問題ありませんが、

1週間または「2週間連続で会社を休むのは難しいよ」という方が多いでしょう。

 

あなたの考えていることはよく分かります。

「会社の人にうつ病と知られたくない」

「自分が休んだら、仕事に支障をきたしてしまう」

「評価が下がったり、出世の道が閉ざされたらどうしよう」

 

しかしよく考えてください。

仕事とあなたの身体、どちらが大切でしょうか?

 

うつ病で会社を休む前に調べておきたいこと

会社を休むことになると、多くの場合、まず残っている有給休暇を使用することになります。

「多くの場合」と書いたのは、会社によって扱いが異なる場合があるからです。

以下で詳しくみていきます。

有給休暇と欠勤と休職の制度について

有給休暇

有給休暇は、会社に6ヶ月以上勤務していれば必ずもらえます。

最低でも10日。最高で20日。長く勤めるほど1年間にもらえる日数が増えていきます。

ただし、基本的に2年を超えて繰越ができないため、最高でも40日以上残っている方は少ないと思います。

(わたしは40日以上残ってます!という方の会社は、素晴らしい会社です。)

有給休暇を使用する場合は、出勤したことと同じ扱いになるので、給与が減ることはありません。

 

欠勤

有給休暇をすべて使用してしまい、残りが0になったあと、それ以上休んでしまうと欠勤になります。

会社によって規定が異なりますが、欠勤した日数分だけ給与が減らされることが多いです。

1ヶ月すべて欠勤の場合は、給与は支給されませんが、社会保険料は引かれるため、マイナス支給となります。

(計算方法は、会社によって異なります。また、欠勤しても給与が減らない規定を持つ会社もあります。)

 

休職制度

休職制度は、長期間にわたり、業務に関係のない病気や怪我で会社を休むことのできる制度です。

会社の定めた休職期間中は、休み続けても会社を辞める必要はありません。

 

また、休職期間中は、一定の割合で給与が支払われる場合もあります。

有給休暇を全部使い切る前に、または欠勤をしなくても、休職制度を利用できる会社もあります。

 

ただし、休職制度は、法律上の規定がありませんので、どのような内容にするかは会社の自由です。

また、休職制度を定めるか否かも会社の自由となっています。

 

だから、自分の会社に休職制度があるかどうか、

また、休職制度の期間や、給与の支給割合を調べておくことは大切です。

休職の制度がある会社は、就業規則あるいはその他の規則に必ず定めが書かれています。

分からない場合は、それとなく担当者に聞いてみましょう。

 

傷病手当金について

休職制度がない、または休職期間中に給与がもらえない場合は、

傷病手当金という制度を利用することができます。

傷病手当金の申請をすると、基本給のおおよそ3分の2が健康保険組合からもらえます。

傷病手当金の申請方法や条件については、後で詳しく書きます。

 

退職について

うつ病になって、長期間会社を休むという状態になった場合でも、

すぐに退職を考えるのではなく、会社を休み、

会社の業務から離れて、治療に専念することを考えましょう。

 

会社や上司によって、うつ病への理解は様々です。

とても心配してくれて、「会社のことはいいから、治療に専念して早く良くなって欲しい」

と言ってくれる会社もあれば、

残念ながら、退職をうながしてくるような会社もあると思います。

 

ただ必ず覚えておいていただきたいことは、

うつ病になったこと、あるいはうつ病の治療しているだけで、

会社を解雇されることはないということです。

あなたには、病気を治して会社に戻る権利があります。

 

何らかの病気の治療をしながら働いている労働者は、労働者人口の約3分の1もいます。

「働き方改革」という言葉を聞いたことがあると思いますが、

働き方改革実行計画(平成29年3月28日の働き方改革実現会議)の中で、

病気の治療をしながら働くということに対する会社の意識の改革と、

受け入れ態勢の整備に関することが書かれています。

 

国としても、病気の治療と仕事の両立が重要だという認識があるのです。

だから、すぐに退職届を出さずに、ひとまず、治療に専念することを優先してください。

 

傷病手当金について

制度の概要

業務以外でのケガや病気で会社を長い間休むことになったときに、

通常の給与のおおよそ3分の2の金額が、健康保険組合から支給される制度です。

支給の要件

健康保険組合、全国健康保険協会(協会けんぽと略すことが多いです)、

共済組合の被保険者(どれかの保険証を持っている人)であることが前提条件です。

※国民健康保険は対象外です。

 

①業務以外でのケガや病気で、仕事を休んで療養が必要と医師の診断を受けた人

②連続して4日以上休んでいること

③休んでいる期間、給与の支給がないこと

 

①業務以外のケガや病気で治療していることが必要です。

業務上のケガや病気は「労働災害」となり、労災保険から治療費や生活費が支給されます。

また、病院で治療を受けて、

「会社の業務ができない」または「業務を休んで治療する必要があります」

という内容の診断書を書いてもらう必要があります。

 

②連続して4日以上休んでいることが必要です。

連続して休み始めてから、最初の3日間は支給されません。

連続して3日会社を休み、その後続けて休んだ日が、支給の対象となります。

 

具体例

連続して10日休んだ場合は、7日間が支給の対象です。

3日休んで1日出社して、また3日休んで1日出社したというような場合は、支給の対象になる日はありません。

 

③休んでいる期間中に、給与などの支払いがないことが必要です。

会社に休職制度があって、休職期間中は基本給の2分の1が支給されるという規定があり、実際に半分の給与が支払われているような場合は、支給の対象にはなりません。

 

支給される金額

支給される金額は、おおよそ基本給の3分の2の金額です。

おおよその基本給の※計算方法は決まっているのですが、ここでは省略しますね。

(※標準報酬月額を使用して計算します)

 

残業代や交通費を除いたひと月の基本給を30で割ると、1日分の給与が出ます(A)。

1日分の給与の金額(A)に3分の2をかけます(B)。

その金額(B)に日数をかけた額が支給金額となります(C)。

 

具体例:基本給が30万円の場合

300,000÷30=10,000     (A)

10,000×2÷3=約6,667円 (B)

6,667円×休んだ日数(最初の3日を除く)が支給金額です。(C)

 

給与の支給がなくても、障害年金など他に収入がある場合は、

その分減額されることがあります。

 

支給期間

支給期間は、支給期間の最初の日から数えて、最大で1年6ヶ月です。

 

会社を休み始めて支給申請をして、支給が開始された後、

もし途中で会社を辞めることになった場合でも、

そのまま続けて最大で1年6ヶ月までは、支給申請できます。

当然ですが、ケガや病気が治ったり、働き始めて収入があればもらえません。

 

逆に、6ヶ月間支給を受けて、その後に復職して、1年間勤務した後に、

同じ病気でまた会社を休んでしまったような場合、

もう一度申請しようとしても、残っている支給可能期間がないので申請できません。

 

同じケガや病気で申請する場合は、再度申請しようと思ったとしても、

最初の支給日から数えて、1年6ヶ月の期間中しか受給できないので注意が必要です。

 

申請方法

まず会社に傷病手当金を受給したいと伝え、医師の診断書を準備します。

 

会社から、傷病手当金申請書(保険組合によって用紙は異なります)の記入と

必要書類の準備をお願いされますので、会社の担当者の指示に従ってください。

 

会社の担当者が、その他の申請に必要な書類(事業主の証明書)とあわせて、保険組合に提出します。

申請が通れば、おおよそ1ヶ月位で傷病手当金が振り込まれます。

 

労災保険や失業保険と異なる点

傷病手当金は、業務に関係ないケガや病気で働けなくなった場合に申請できるものでした。

 

逆に、業務に関係ある場合のケガや病気は、労災保険(労働災害保険)の対象となります。

業務に関係ある場合とは、業務中にケガをしたり、通勤途中でケガをしたり、

業務内容が原因で病気になったりした場合です。

 

労災保険は、会社を休んで治療する場合の治療費や生活費はもちろん、

会社を休まずに、通院する場合の治療費も負担してもらえます。

労災保険の対象となる場合は、手続き方法が異なりますので注意してください。

 

また、失業保険(失業手当)は、会社を辞めて、次の職場を探す期間に受給できるものです。

これは、近くのハローワークに行って自分で手続きをする必要があります。

あくまでも、働く意思があって仕事が見つかるまでの期間にもらえるものです。

働くことができない場合は、申請、受給できませんのでご注意下さい。

 

うつかなと思ったら・会社を辞める前に

うつかもしれない、体の調子が悪いと思ったら、絶対にガマンだけはしないでください。

まずは信頼できる人に相談しましょう。

そして、心療内科でも精神科でも、内科でもいいので、診察してもらいましょう。

 

うつ病は誰でもなる可能性のある病気です。

気合いや根性だけでは治せません。

症状が出ている場合、ガマンし続けると、さらに症状が悪化する場合もあります。

 

休職や傷病手当金ということばは、普段は聞きなれないていないのでむずかしいかもしれません。

それでも、すぐに会社を辞めるという方法を取らずに、治療をする方法を探してください。

 

会社の職場環境が悪くて、体調が悪くなっているのなら、

まずは会社を休み、体調を回復させて元気になってから、転職することを考えましょう。

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